News

「中国四川省-四姑娘山便り」大川健三 -女王谷の中学校-

中国四川省北西部にチベット族自治区域の一つの女王谷(現在ギャロンと呼ばれる地域のチベット語の原名“rGyalmorong”の意訳)が在ります。此処の中学校を巡る事情の一部をご紹介します。

小学校と同じく中学も義務教育で公立ですが当地では入学試験が有ります。
町の小学校に1000人位の子供を集めて入学試験を2回行います。
1回は成都の有名中学の試験と同じ水準で、もう1回は普通の授業で使う教科書の水準です。
この2回の試験成績を総合して子供の学力をランク付けし、県内に有る3つの中学校と数種類の特別クラスに振り分けます。
中学校はランク付けされていて、丹巴中学校、丹巴第二中学校、半扇門中学校の順です。
丹巴中学校には試験のトップ40人が入れる特別Aクラス(仮称)と次の50人が入れる特別Bクラスが有ります。
丹巴第二中学校と半扇門中学校にも各学校のトップ50人位が入れる特別Cクラスが有ります。
特別Aクラスは成都の有名中学の一つと提携してほぼ同じ授業を行っていて高校進学に有利なため、入学試験で良い試験成績を得られるよう親は子供を励まします。丹巴中学校は町の郊外に在り完全寄宿制です。
学校の周辺は農家と少数の雑貨屋や食堂だけで、且つ集落から川で隔てられ、子供の生活環境が保護されています。
子供は土曜日の昼に自宅へ帰り、日曜日の夕方に中学校へ戻ります。
丹巴第二中学校は町の中に、半扇門中学校は郷村部に在り、親や親戚の家からの通学と寄宿の両方が可能です。

新学期は8月中旬から始まります。先ず特別クラスが始まり、10日位遅れて一般のクラスが始まります。
寄宿している子供は毎日06:30起床して準備体操、07:00朝食です。
授業は月曜から金曜まで凡そ朝8:00~12:30、14:00~17:30、19:00~21:00です。
土曜日は朝8:00~12:30です。厳しいスケジュールですが、塾通いしたり自習する事を考えると然程でも無いようです。
また子供は昼食の後、教室の机に俯せになって30分間昼寝するよう義務付けられていて、
厳しいスケジュールを熟す一助になっています。
中学校は基本的に無料で、親が負担するのは補習教材や寄宿舎での食事費用位です(但し親は気遣って色々差し入れますが)。
成都の有名中学に通う子供の親は塾通いや個人教授に多額の費用を支払っていますので、この点では丹巴の子供の親は楽です。これも辺地に住む少数民族の優遇策の一つかも知れません。

前は川、後は急斜面の山に挟まれた校舎
山の中の割には広く整備された校舎の一部
寄宿舎の傍らに在る庭